ネットワーク機器選定をするときにどのような機器を選ぶべきかの指標としてスイッチの処理性能があります。本記事ではその性能指標について計算方法と合わせて解説します。なお機器選定については性能面以外の要素を考慮する必要もありますので、そちらは別記事でまとめます。
スイッチの性能要件とは
スイッチング容量や、バックプレーン容量、転送レートといった用語をどこかで見かけたことはありますでしょうか。これらの要素はネットワーク機器のデータシートに記載されているスイッチの処理性能の指標となる値です。各機器でどのくらいのトラフィック量を処理できるかの指標となるため、機器選定の際に確認が必須の項目です。
スイッチング容量/バックプレーン容量
スイッチ内で1秒間に処理できるデータ容量のことで、単位はbpsです。ベンダーによって呼び方が違っており、スイッチング容量やバックプレーン容量と記載されることが多い項目です。島スイッチやエッジのローエンドモデルだと数十Gbps。アクセス/ディストリビュータモデルだと数百Gbps。ハイエンドモデルだとTbpsを超えます。
転送レート
1秒間に処理できるパケット数のことで、単位はpps(packet per sec)です。ppsはフレームサイズによって結果が変わります。フレームサイズは64byteから1518byteですが、データシートに載せる値としては限界性能を示すために一番負荷のかかる64byteでの試験結果を公表するケースが多いです。
#フレームサイズが小さいとその分多くの数のパケットを転送処理できるので、負荷がかかります。
ワイヤースピード(ワイヤーレート)/ノンブロッキング
データシートのスイッチ性能の箇所にノンブロッキングという用語が記載されていることもあるので、併せて解説します。
が、その前に前提知識として必要なワイヤスピードから解説します。
ワイヤースピードとは最短サイズのフレームが理論的に考えられる最大限使われている状態のことです。以下にご参考までに1Gbpsのワイヤースピードの計算について記載いたします。
(64+8+12)*8=672bit
1,000,000,000/672≒1,488,100フレーム/sec(pps)
括弧の中の数値ですが、最短フレームサイズの64byte、各フレームの前につく8byteのプリアンブル、フレームとフレームの間の12byteのIFGです。
上記ppsの値以上の性能をスイッチが持っていれば、性能要件は良い状態と思います
そしてノンブロッキングとは、スイッチが備えている全てのインターフェースでワイヤースピードが発揮できることを指します。フルワイヤーと呼ぶ人もいますね。
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