【QoS】分類とマーキングの解説

QoSは覚えにくく何度も繰り返し勉強するネットワーク技術として定評があります。この記事ではそんなQoSの分類とマーキングについて、DSCPを重点的に解説します。なおこの記事ではQoSの内容理解をするところから段階を経た方が理解しやすいと思うので、MQCによる実機への設定は別記事で説明します。

  1. QoS
    1. 分類(Classification)
    2. マーキング(Marking)
  2. DSCP
    1. DSCPとは                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
    2. PHB(Per Hop Behavier)
    3. AFの優先度と破棄率

QoS

QoSはトラフィックの分類やマーキング、ポリシング、シェーピング、輻輳制御等多くの技術があります。まずは一般的なQoSであるDiffServモデルでの分類とマーキングについて簡単に解説いたします。

分類(Classification)

QoSの分類とはネットワーク上のトラフィックを特定の条件などに基づいてグルーピング(分類)することを言います。QoSの場合ACLを条件としてマッチする通信を分類するやり方が多いですが、その他にも既に付与されているCoS/IP Precedence/DSCPや通過するインターフェース、MACアドレスでの分類も可能です。

マーキング(Marking)

QoSのマーキングとは、分類されたパケットに優先度を付与することを言います。パケットのフィールドに対して主に以下のような値を設定して、優先度を付与します。

  • CoS
  • IP Precedence
  • DSCP

ネットワーク機器はマーキングされたパケットの優先度を踏まえたパケット転送を実施可能です。以降は優先度の値の中でも一番要素が多くわかりずらいDSCPについて掘り下げます。

DSCP

DSCPとは                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

DSCPとは、Differentiated Services Code Pointの略でIPパケットにQoSを実施する際のパケットの優先度を示す値です。DSCPを用いることで音声や動画などリアルタイム性が求められるトラフィックを優先的に処理させることができます。DSCPはIPヘッダのTOSフィールドの先頭6ビットを用いて優先度を設定できます。(この領域はDSフィールドとも呼ばれます。)

PHB(Per Hop Behavier)

PHBはDSCPの値によって処理を決めることを言います。PHBは以下4種類があります。

PHB説明DSCP名
Best Effort(BE)ベストエフォート。優先制御しないパケットに適用することが多い。DSCP BE(Default)
Class Selector(CE)IP Precedenceと下位互換を持った8つのDSCP値。CS1,CS2,CS3,CS4,CS5,CS6,CS7
Assured Forwarding(AF)相対的優先転送。前半3ビットを用いた4段階の優先度と、後半3ビットを用いた3段階の破棄率を組み合わせる。AF11,AF12,AF13,
AF21,AF22,AF23,
AF31,AF32,AF33,
AF41,AF42,AF43
Expedited Forwarding(EF)完全優先転送。遅延、ジッター、ロスを避ける必要がある音声系トラフィックに主に適用する。EF

AFの優先度と破棄率

イメージしにくい部分が多いと思いますのでAFについて整理した表を記載いたします。

低破棄率
(名前10進数,2進数)
中破棄率
(名前10進数,2進数)
高破棄率
(名前10進数,2進数)
Class1AF11,10,001010AF12,12,001100AF13,14,001110
Class2AF21,18,010010AF22,20,010100AF23,22,010110
Class3AF31,26,011010AF32,28,011100AF33,30,011110
Class4AF41,34,100010AF41,36,100100AF43,38,100110

なお破棄率は輻輳が起きてキューに入らなかったパケットや優先度が低いパケットに対して通信に影響が生じる場合に、パケットが破棄される確率です。そのため高破棄率にマーキングされたパケットはその他より破棄される可能性が高くなります。

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