ネットワーク技術の中でも理解が難しいと言われているQoSについて、この記事では設計のポイントの一つであるマーキングする値(優先度)をどうやって設計すれば良いかについて、解説します。他にもどのようなQoSツールで設定を実施するか、NWないのどの機器に設定をするか等設計要素は多くあるのでそちらは別記事として記載いたします。
CoS,IP Precedence,DSCP値の設計について
QoS設計をする際に各項目についてどのように設計すれば良いか悩んだ方は多いと思います。私も、本件について解説されている資料もなく感覚で設計していたりと苦労した経験があります。
設計方針については、DSCPで言うと細かい制御はせずに音声系はEF、音声以外はBEという分け方のみ実施している方も多いかなと思います。ですが、実は各メーカやRFCでもトラフィックタイプ毎の設計指標を定めていたりと分類する基準があるので、その内容に従った設計にすれば効果的に設計でき、また設計根拠としても十分なんじゃないかなと存じます。
設計値
下表がその設計指標となり、古い内容ですが今でも通用する考え方と思います。トラフィックの種類によって定義する値が分かれており、DSCPについては各タイプの中でも破棄率が低い方を優先するなどの指標があります。
トラフィックタイプ | CoS | IP Precedende | DSCP |
Voice payload | 5 | 5 | EF |
Video payload | 3 | 4 | AF41 |
Voice,Video signaling | 3 | 3 | CS3 |
MssionCritical Data | 3 | 3 | AF31 AF32 AF33 |
Transactional Data | 2 | 2 | AF21 AF22 AF23 |
Bulk Data | 1 | 1 | AF11 AF12 AF13 |
Best Effort | 0 | 0 | BE |
Scavenger (ベストエフォート以下にしたいトラフィック) | 0 | 0 | 2 4 6 |
実際の設計例
上記の表はあくまでも例となります。特に通常データ通信については所謂「決めの問題」としてDSCPを適当にハメることもあるかなと思います。ちょっとした実例のご参考となります。
・音声/ビデオ系トラフィック
⇒上表の通りの値。
・重要なhttps通信
⇒AF31(”URLに●●が含まれる通信”で分類)
・重要ではないhttps通信
⇒AF21(”URLに××が含まれる通信”で分類)
・上記以外の通信
⇒class defaultでBEをマーキング
最後に
QoSは設計に関わる機会がすくないからか難しい覚えにくいと言われることが多い技術です。ですが、ちゃんと理解をすると中身は単純で簡単なことに気づく方も多いかなと思います。またQoSツールとして多くの項目(Intserv,Diffserv,PQ,CQ,CBWFQ,LLQ,WRED等など)が出てきますが古くて現在は使われない項目もかなり多くそういった項目は勉強しなくてよいかなとも思っています。また参考書などで勉強した後は実際に自身だったらどう設計するかというシミュレーションをすることで理解がより進み、思ったより簡単だぞと気づくので、ぜひ挑戦していただければと思います。
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